同志社大ラグビー部で大学選手権3連覇を経験
皆さん、ラグビーと聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
いわゆる3K「きつい、汚い、危険」と思っておられるのではないでしょうか。確かに言い得て妙なところはありますが、それ以上に他のスポーツにはない魅力あふれるスポーツだと思っています。
私がラグビーを始めるきっかけは、父親が膳所でラグビーをしていたことから、中学生当時にラグビーをされていた方々から熱いお話を聞く機会があったからです。
ラグビー班は、1948年(昭和23年)に創部されました。終戦からわずか3年しか経っていない当時は食べる物はもちろん、道具やグラウンド、プレーする環境などあらゆるものが不足していた時代であったと先輩方に伺いました。そんな中においても、情熱をもってラグビーを愛し、勉学に勤しんだ先輩方が、なぜラグビーに魅了されたのかを知りたいと思うとともに、自ら体験したいという気持ちが大きくなりました。
中学生当時、受験できるラグビー部がある高校は、瀬田工業と膳所しかありませんでした。中学校での成績はそれほど優れたものではありませんでしたが、膳所に入ってラグビーをしたいという一心で勉強を頑張り、何とか合格し、入部しました。3年間、ラグビー漬けの日々を過ごした後は、大学、社会人とプレーし35歳で一線を退きました。
私は身長が160cmほどしかありません。ラグビーはどんな体形、どんな性格でも、いつから始めても、プレーできる極めて稀なスポーツだと思います。15人がそれぞれのポジション毎の役割を持って、手でボールを扱うことができるスポーツのため、それまでのスポーツ経験や技量などがなく、高校から始めても決して遅くありません。私も高校から始めましたが、仲間と県大会優勝や近畿大会出場、高校2年からは日本代表候補や関西代表などにも呼ばれ、同志社大学では3回日本一なるなど貴重な経験を味わいました。
また、息子も膳所でラグビーを始め、3年生の全国大会出場を賭けた秋の県大会で敗れましたが、仲間たちとラグビーを悔いなく楽しんだと思います。
ラグビー憲章で掲げる五つのコアバリュー『品位、情熱、結束、規律、尊重』は、ラグビー独自の特性と理念をプレー中でもプレー外でも守っていくための手引きです。
礼儀や節度をもって気高く落ち着き振る舞う「品位」、誰もが心の奥底に持っている熱い思いで困難に打ち勝つ「情熱」、生涯続く友情・仲間・チームワークで思いを一つにする「結束」、ルールだけでなく、人としての定め、集団の秩序で着実に実践・遂行する「規律」、そして、敵味方なく多様な価値観を理解し合う「尊重」――。これらを若い間にラグビーを通じて体感、経験することは、その後の人間形成や人生、社会人として日本の未来を背負うみなさんには大いに役立つと確信しています。ラグビーを通じて養われる人間力と意思疎通をするコミュニティー力、全てを許す抱擁力やみんなと目指す団結力など、勝つことだけでない、魅力あふれるスポーツだと思っています。
しんどいこともどろどろに汚れることも、痛いこともいっぱいあります。でも、勉学だけではなく、大切な仲間たちと過ごした年月は永遠に色あせることはありません。
高校生活を充実させたいのなら、ぜひ一度、ラグビーを体験してみませんか。必ず、その魅力に魅了されることでしょう。
転載:野口(1985卒)