2025.04.12「現役生に伝えたい〜ラグビーの競技性と社会有用性~」平成15(2003)年卒 林 徹
花園3回目出場(2002)時ナンバー8でチームを牽引、その後早稲田大ラグビー部でナンバー8、ホンダ・ヒートでフランカーとして活躍する。初のトップリーグ(現リーグワン)選手。
今回は「ラグビーが社会人として有益か?」について、私なりの見解を伝えたいと思います。
学生当時、いろんな人が有益だと叫んでいましたが、具体的にイメージが湧かなかったものです。誰も具体例を出してくれなかったんですよね……。仲間と得た青春は今でも心の支え→社会人でも活きる、みたいに。ラグビーじゃなくても青春できるだろって、高校生の時には心の中でツッコんでいました。
ラグビーの競技性と社会有用性について、大きく三つあると考えています。他のスポーツを否定するつもりはありません。ダメな先輩が偉そうにうんちくを語っている程度に思ってください。
①トップダウン型でなく、現場実行型
②最適解の選択
③責任と信頼 できないプレーを仲間に任せる
まずは①ですが、高度成長時代は社長のいうことを確実にこなす社員のニーズが高かったらしいです(NHKのドキュメンタリーでも言っていたので多分、合っているのでしょう)。いわゆる野球のように監督のサインを忠実に実行するプレーです。
一方で、現代社会は複雑になりすぎています。そもそも社長は末端の現場の詳細など分からないだろうし、自動車四輪担当の私が農機のことなど知るはずがない。そのように、よくわかっていない人間の指示や、いわゆる「常識」とされて来たものの中には、時代や社会の変化を経て的を外していることが実は多いのです。その際、何より求められているのは、そのフィールドごとに自分自身で状況を的確に判断し、達成のため要求されるものを自分自身で考え、それを達成することですね。
つまり、ラグビーの監督が方向性と基本的な原則を教えて、選手を試合に送り出したら、あとは見守るのみっていうのと同じですね。現役時代に共に花園3回目出場を果たしたU監督(現I高校監督)はカメラがないところではプレーごとに指示というか、8割はレフリーへのヤジでしたけれど、まあ我々の心の声を代弁してくれていたということで「良し」としましょう。
次に②についてです。例えば、あるフェイズでゲインを切るという場合、与えられる選択肢は多くあります。ヒット・ステップ・パス・キック、結果(ゲイン)にコミットすれば最適解は何を選んでも良いことになります。役職が上がれば上がるほど、命題のみ与えられ、リーダーとして最適解を導き出す必要があります。起業なら、自分に命題を課すことにもなりますね(偉そうに言っているけど、「お前の役職はどの程度だ? 雇われ社員のくせに」というツッコミはご容赦ください)。
最後に③ですが、体重がない選手が相手にヒットして打ち勝つことに全力を尽くすのではなく、チーム内のパワープレーヤーを信頼し、最高の状態でボールを渡すことが重要です。これは自社にできないことは他社に委託し、結果として成果を挙げる事例とも同義です。ただ、会社でも、すべてを他人に丸投げするだけなら、周囲から必要とされないものの、一芸以上のスキルを身につけることで他者との信頼関係を得られることが可能、そう表現するのが分かりやすいのかもしれません。
以上、私のメッセージが少しでも役立てば幸いです。
転載:野口(1985卒)